正信偈

『正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)』略して『正信偈(しょうしんげ)』は、親鸞聖人の主著である『教行信証』行巻(ぎょうのまき)の末尾にしるされた六十行一二〇句の漢詩である。

真宗門徒の勤行(ごんぎょう)としてこの『正信偈』がよまれる。

正信偈の意味は、前半の「帰命無量寿如来」から「難中之難無過斯」までが『無量寿経』の教えを簡潔にまとめた内容、後半の「印度西天之論家」から「唯可信斯高僧説」までが七高僧(親鸞が尊敬した七人の僧侶)の徳を讃える内容である。

きみょうむりょうじゅにょらい なむふかしぎこう
帰命無量寿如来 南無不可思議光
ほうぞうぼさいんにんじ ざいせじざいおうぶっしょ
法蔵菩薩因位時 在世自在王仏所
とけんしょぶつじょうどいん こくどにんでんしぜんまく
覩見諸仏浄土因 国土人典之善悪
こんりゅうむじょうしゅしょうがん ちょうほっけうだいぐぜい
建立無上殊勝願 超発稀有大弘誓
ごこうしゆいししょうじゅ じゅうせいみょうしょうもんじっぽう
五劫思惟之摂受 重誓名声聞十方
ふほうむりょうむへんこう むげむたいこうえんのう
普放無量無辺光 無碍無対光炎王
しょうじょうかんぎちえこう ふだんなんしむしょうこう
清浄歓喜智慧光 不断難思無称光
ちょうにちがっこうしょうじんせつ いっさいぐんじょうむこうしょう
超日月光照塵刹 一切群生蒙光照
ほんがんみょうごうしょうじょうごう ししんしんぎょうがんにいん
本願名号正定業 至心信楽願為因
じょうとうがくしょうだいねはん ひっしめっどがんじょうじゅ
成等覚証大涅槃 必至滅度願成就
にょらいしょいこうしゅっせ ゆいせみだほんがんかい
如来所以興出世 唯説弥陀本願海
ごじょくあくじぐんじょうかい おうしんにょらいにょじつごん
五濁悪時群生海 応信如来如実言
のうほいちねんきあいしん ふだんぼんのうとくねはん
能発一念喜愛心 不断煩悩得涅槃
ぼんしょうぎゃくほうさいえにゅう にょしゅうしにゅうかいいちみ
凡聖逆謗斉回入 如衆水入海一味
せっしゅしんこうじょうしょうご いのうすいはむみょうあん
摂取心光常照護 已能雖破無明闇
とんないしんぞうしうんむ じょうふしんじしんじんてん
貪愛瞋憎之雲霧 常覆真実信心天
ひにょにっこうふうんむ うんむしげみょうむあん
譬如日光覆雲霧 雲霧之下明無闇
ぎゃくしんけんきょうだいきょうき そくおうちょうぜッごあくしゅ
獲信見敬大慶喜 即横超截五悪趣
いっさいぜんまくぼんぶにん もんしんにょらいぐぜいがん
一切善悪凡夫人 聞信如来弘誓願
ぶッごんこうだいしょうげしゃ ぜにんみょうふんだりけ
仏言広大勝解者 是人名分陀利華
みだぶほんがんねんぶ じゃけんきょうまんあくしゅじょう
弥陀仏本願念仏 邪見驕慢悪衆生
しんぎょうじゅじじんになん なんちゅうしなんむかし
信楽受持甚以難 難中之難無過斯
いんどさいてんしろんげ ちゅうかじちいきしこうそう
印度西天之論家 中夏日域之高僧
けんだいしょうこうせしょうい みょうにょらいほんぜいおうき
顕大聖興世正意 明如来本誓応機
しゃかにょらいりょうがせん いしゅうごうみょうなんてんじく
釈迦如来楞伽山 為衆告命南天竺
りゅうじゅだいじしゅっとせ しつのうざいはうむけん
龍樹大士出於世 悉能摧破有無見
せんぜだいじょうむじょうほう しょうかんぎじしょうあんらく
宣説大乗無上法 証歓喜地生安楽
けんじなんぎょうろくろく しんぎょういぎょうしどうらく
顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽
おくねんみだぶほんがん じねんそくじにゅうひッじょう
憶念弥陀仏本願 自然即時入必定
ゆいのうじょうしょうにょらいごう おうほうだいひぐぜいおん
唯能常称如来号 応報大悲弘誓恩
てんじんぼさぞうろんせ きみょうむげこうにょうらい
天親菩薩造論説 帰命無碍光如来
えしゅたらけんしんじ こうせんおうちょうだいせいがん
依修多羅顕真実 光闡横超大誓願
こうゆほんがんりきえこう いどぐんじょうしょういっしん
広由本願力廻向 為度群生彰一心
きにゅうくどくだいほうかい ひッぎゃくにゅうだいえしゅしゅ
帰入功徳大宝海 必獲入大会衆数
とくしれんげぞうせかい そくしょうしんにょほっしょうしん
得至蓮華蔵世界 即証真如法性身
ゆぼんのうりんげんじんずう にゅうしょうじおんじおうげ
遊煩悩林現神通 入生死薗示応化
ほんじどんらんりょうてんし じょうこうらんしょぼさらい
本師曇鸞梁天子 常向鸞処菩薩礼
さんぞうるしじゅじょうきょう ぼんしょうせんぎょうきらくほう
三蔵流支授浄教 梵焼仙経帰楽邦
てんじんぼさろんちゅうげ ほうどいんがけんせいがん
天親菩薩論註解 報土因果顕誓願
おうげんえこうゆたりき しょうじょうしいんゆいしんじん
往還廻向由他力 正定之因唯信心
わくぜんぼんぶしんじんほ しょうちしょうじそくねはん
惑染凡夫信心発 証知生死即涅槃
ひっしむりょうこうみょうど しょうしゅじょうかいふけ
必至無量光明土 諸有衆生皆普化
どうしゃっけっしょうどうなんしょ ゆいみょうじょうどかつうにゅう
道綽決聖道難証 唯明浄土可通入
まんぜんじりきへんごんしゅ えんまんとくごうかんせんしょう
万善自力貶勤修 円満徳号勧専称
さんぷさんしんけおんごん ぞうまほうめどうひいん
三不三信誨慇懃 像末法滅同悲引
いっしょうぞうあくちぐぜい しあんにょうかいしょうみょうか
一生造悪値弘誓 至安養界証妙果

ぜんどうどくみょうぶっしょうい こうあいじょうさんよぎゃくあく
善導独明仏正意 矜哀定散与逆悪
こうみょうみょうごうけんいんねん かいにゅうほんがんだいちかい
光明名号顕因縁 開入本願大智海
ぎょうじゃしょうじゅこんごうしん きょうきいちねんそうおうご
行者正受金剛心 慶喜一念相応後
よいだいとうぎゃくさんにん そくしょうほっしょうしじょうらく
与韋提等獲三忍 即証法性之常楽
げんしんこうかいいちだいきょう へんきあんにょうかんいっさい
源信広開一代教 偏帰安養勧一切
せんぞうしゅうしんはんせんじん ほうけにどしょうべんりゅう
専雑執心判浅深 報化二土正弁立
ごくじゅうあくにんゆいしょうぶ がやくざいひせっしゅちゅう
極重悪人唯称仏 我亦在彼摂取中
ぼんのうしょうげんすいふけん だいひむけんじょうしょうが
煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我
ほんじげんくうみょうぶっきょう れんみんぜんまくぼんぶにん
本師源空明仏教 憐愍善悪凡夫人
しんしゅうきょうしょうこうへんしゅう せんじゃくほんがんぐあくせ
真宗教証興片州 選択本願弘悪世
げんらいしょうじりんでんげ けっちぎじょういしょし
還来生死輪転家 決以疑情為所止
そくにゅうじゃくじょうむいらく ひっちしんじんいのうにゅう
速入寂静無為楽 必以信心為能入
ぐきょうだいじしゅうしとう じょうさいむへんごくじょくあく
弘経大士宗師等 拯済無辺極濁悪
どうぞくじしゅうぐどうしん ゆいかしんしこうそうせ
道俗時衆共同心 唯可信斯高僧説

 

 

 


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